核医学検査
核医学検査について
核医学検査とは、放射性同位元素(Radio Isotope:RI)を使用した検査になります。このRIを含む放射性医薬品を注射や経口・吸入により体内に投与します。その後、特定の臓器や腫瘍・炎症の部位に集まったRIから放出される放射線を装置で撮影・収集していきます。体内に投与した放射性医薬品は尿や便とともに体外に排出され、時間経過とともに放射能も弱くなり、ほとんどのものが数日中には身体から排出されていきます。
使用機器
- SPECT/CT
- 心臓用半導体SPECT装置(D-SPECT)

(SIEMENS Symbia Pro.specta)

(SPECTRUM DYNAMICS MEDICAL D-SPECT)
検査内容
幅広く、多様な検査を行ってはいますが、心臓に関する検査が比較的多い傾向にあります。
- 負荷心筋、安静心筋検査
- 肺血流、肺換気検査
- 全身骨、全身ガリウム検査
- 脳血流検査
- センチネルリンパ節検査
- 肝アシアロ、腎レノグラム検査
- 唾液腺、甲状腺検査
心筋血流シンチグラフィ
当院で最も行われている検査であり、虚血性心疾患や心筋症、心不全などの精査を目的とした検査です。造影剤を使用したCT検査などから分かる冠動脈の血管形態とはまた異なる、心臓の機能的な情報を得ることができます。

虚血症例の画像

安静時(下段)の比較

安静時(下段)の比較
骨シンチグラフィ
骨代謝の変化が起こるとその部分に放射性物質が集積します。その性質を利用して微量な放射線を出すお薬を注射したうえで撮影することで、悪性腫瘍の骨転移巣の検索や、骨髄炎、疲労骨折などの有無を調べる検査です。骨に取り込まれなかった放射性医薬品は尿中に排出されて膀胱に溜まってしまうため、正確な撮影のために、検査直前にお手洗いを済ませていただきます。


肺血流シンチグラフィ
肺毛細血管よりも大きい粒子径の薬剤を投与し、一過性の微小塞栓を起こし停滞させることで画像化しています。投与する体位が重要な検査なため、検査目的によっては仰向けとうつ伏せの両方で薬剤を投与することもあります。


写真提供:シーメンスヘルスケア株式会社
脳血流シンチグラフィ
脳血管障害、認知症、脳炎などの症例に広く利用されています。特に認知症の鑑別に有効であり、神経内科の病院やクリニックなどからの検査依頼が多い検査です。光刺激による脳血流への影響を考慮し、検査中は部屋を暗くして検査を行います。

写真提供:PDRファーマ株式会社
肝アシアロシンチグラフィ
正常な肝細胞に取り込まれる薬剤を使用し、肝障害の程度(肝機能予備能)を調べられる検査です。食事などの摂取により肝血流量が増加するので、当日の食事は検査終了まで控えていただきます。


写真提供:シーメンスヘルスケア株式会社
腎レノグラム
腎臓はいくつかの機能を担っていますが、その中でも血液浄化機構は腎臓の最も重要な機能になります。その機能を左右の腎臓で別々で調べられる(分腎機能)検査になります。前処置としてペットボトル1本の水を持参していただき、検査開始30分程前から飲んでいただきます。

写真提供:シーメンスヘルスケア株式会社
唾液腺シンチグラフィ
液腺は唾液の産生、排泄を行う臓器で、主に耳下腺・顎下腺・舌下腺からなります。この検査は各種唾液腺疾患の診断、機能評価、経過観察の目的で利用されています。検査目的によっては、唾液腺に集まる薬剤の他に検査中にレモン汁を口腔内に投与させていただく場合があります。


写真提供:シーメンスヘルスケア株式会社
心臓用半導体SPECT装置(D-SPECT)の特徴
当院で稼働しているD-SPECT装置は、全国でも数少ない最新の装置です。この装置は感度が高いため、従来の撮像法よりもアイソトープの投与量を減量でき、被ばくの低減が可能です。また、撮像時間も短縮されることにより、患者様の負担を減らすことができます。
また、従来のA-SPECT装置では完全に横になって撮像するのに対して、D-SPECT装置はイスに座っての撮像となります。閉塞感がなく、腕を装置の上に載せての撮像が可能ですので、姿勢という点でも患者様に優しい検査が可能です。
診療放射線技師は
・前処置やアレルギーの有無の確認
・薬剤や運動による負荷の補助
・撮像のポジショニング
・標識
・画像の構築
などの業務を担当しています。