放射線治療科

肺がん定位放射線治療

小型の肺がんでは、手術が標準的な治療です。一方で、年齢、持病、肺機能、がんの場所、ご本人の希望などによって、定位放射線治療を検討することがあります。

当科では、呼吸器内科・呼吸器外科と連携し、がんの大きさや場所、肺やそのほかの臓器の様子、生活背景などに基づいて、適応を判断しています。治療効果だけでなく、副作用や手術との違いも説明し、納得して治療を受けられるようにしています。

なお、定位放射線治療は原発性肺がんが主な対象ですが、条件が合えば、数の少ない肺転移に対しても検討されることがあります。

このようなご相談に対応しています

  • 肺がんと診断されたが、手術はできないといわれた。
  • 年齢、持病、肺機能などから手術の負担が心配
  • 手術以外の根治的治療について相談したい
  • 肺に影があると言われ、治療方針について相談したい
  • 肺がんに対する定位放射線治療について知りたい

定位放射線治療とは

定位放射線治療は、画像で病変の位置を確認しながら、限られた範囲に高い精度で放射線をあてる治療です。小型の肺がんでは、数回に分けて集中的に照射し、根治を目指す治療として検討されます。

肺の病変は呼吸に合わせて動くため、治療計画では病変の位置や動きを確認します。がんに必要な線量を届けながら、周囲の正常な肺、気管支、食道、心臓、肋骨などへの影響をできるだけ抑えることが大切です。すべての肺がんに適した治療ではないため、がんの大きさや場所、リンパ節転移の有無、肺機能などを確認して判断します。

手術と定位放射線治療の違い

肺がんに対する定位放射線治療は、肺内の小さな病巣をねらって治療します。手術と異なり、麻酔を行わないこと、出血がないことなどから、比較的身体的な負担の少ない根治的な治療と考えられています。

一方で、手術では腫瘍を摘出することで、病気の正確な診断ができ、リンパ節への転移の判断や摘出も行えることがメリットです。このため、どちらの治療が適しているかは、がんの状態だけでなく、全身状態や肺機能、生活状況も含めて判断します。

治療期間と回数

多くの場合、1日1回、1~5回程度の治療を外来通院で連日で行います。1回の治療は10~15分程度です。

初めての診察でおこなうこと

放射線治療科の初めての診察では、病気の広がりや場所、手術を行なわない理由、呼吸機能などの検査結果や現在の体調などを確認します。そのうえで最適な放射線治療の方法や目的、副作用について説明します。治療を受けることになった場合は、治療計画用CTの撮影日、治療開始日など今後の予定を相談します。原則として初回の診察日に治療を開始することはありません。

通院手段、日程、治療方針について不安がある方は、ご家族などと一緒に受診されることをおすすめします。また、日常生活で気になることや、治療中に気をつけることについて、看護師と相談することもできます。

初回の診察後から治療開始までの流れについては、「放射線治療がはじまるまで」をご覧ください。

副作用について

肺の定位放射線治療では、治療中に大きな症状が出ることは、あまりありませんが、だるさ、咳、皮膚の赤み、胸の違和感などがみられることがあります。多くの場合、日常生活や通院を続けながら治療できますが、症状を確認しながら外来で対応します。

治療後しばらくしてから、放射線をあてた周囲の肺に炎症が起こることがあります。咳、発熱、息切れなどが続く場合は、早めにご相談ください。また、病変の場所によっては、肋骨の痛み、胸壁の痛み、気管支や食道への影響などに注意が必要な場合があります

よくある質問

Q
手術の代わりになりますか?
A

小型肺がんでは手術が標準的な治療ですが、肺機能、持病、年齢、がんの場所、ご本人の希望などによって、定位放射線治療を検討することがあります。手術が難しい場合だけでなく、根治を目指す治療の選択肢として個別に判断します。

Q
治療にかかる費用は?
A

肺がんの定位放射線治療の治療費は60万円前後で、自己負担割合が1割の方は6万円、3割の方は18万円程度になります。保険診療となりますので高額療養費制度により自己負担額が減ることもあります。詳細は当院の医事課もしくは会計窓口でご相談ください。

Q
どのような肺がんが対象になりますか?
A

主に肺の外側にある小型のがんで検討されます。リンパ節転移や遠隔転移の有無、がんの大きさや場所、肺機能などを確認したうえで、適応を判断します。

Q
治療は何回くらいですか?
A

病変の大きさや場所によって異なりますが、1回もしくは3-8回に分けて行うことが多い治療です。具体的な回数は、診察時に画像検査や全身状態を確認したうえで説明します。

Q
放射線治療中に痛みはありますか?
A

照射中に痛みや熱さを感じることはありません。治療台の上で同じ姿勢を保っていただき、画像で位置を確認しながら照射します。

Q
入院は必要ですか?
A

多くの場合、通院で治療できます。全身状態、通院の状況、酸素療法の有無などによっては、個別に相談します。

Q
治療後、がんはすぐ小さくなりますか?
A

画像上の変化には時間がかかることがあります。治療後すぐに小さく見えなくても、CTなどで時間をかけて経過を確認します。

Q
どのような副作用に注意が必要ですか?
A

治療後しばらくしてから、咳、発熱、息切れなどが出ることがあります。放射線による肺の炎症が関係する場合がありますので、症状が続く場合は早めにご相談ください。

Q
肺の中心部に近い病変でも治療できますか?
A

肺の中心部に近い病変では、気管支や食道、大きな血管などへの影響を慎重に考える必要があります。病変の場所によって治療方法や回数を調整することがあります。

お問合せ・ご相談について

患者様

放射線治療の適応を判断するためには、現在の病状、これまでの治療内容、検査画像などの詳しい情報が必要です。そのため、当科の受診は原則として、現在診療を受けている医療機関の医師からの紹介による予約制としています。受診をご希望の場合は、まず現在の担当医にご相談ください。

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この記事について

このページは、肺がんの放射線治療について、患者さんとご家族に分かりやすくお伝えするために作成しています。実際の治療方針は、病状や検査結果、全身状態などによって異なります。詳しくは、主治医または放射線治療科でご相談ください。

参考にした主な情報
  • 日本放射線腫瘍学会放射線治療ガイドライン

執筆・監修医師

藤 浩(ふじ ひろし)
千葉西総合病院 放射線治療科
日本医学放射線学会認定 放射線治療専門医

最終更新日:2026年7月28日