放射線治療科

前立腺がん根治照射

前立腺がんの治療は、手術、放射線治療、監視療法、ホルモン療法などを、病状や年齢、持病、生活背景に応じて選択します。放射線治療は、前立腺を摘出せずに根治を目指す治療の一つであり、手術後のPSA再発や骨転移の痛みに対して用いられることもあります。

当科では、泌尿器科と連携しながら、治療の目的、回数、副作用、生活への影響について説明し、患者さんに合った治療方針を確認していきます。

このようなご相談に対応しています

  • 手術と放射線治療の違いを知りたい
  • 前立腺を摘出せずに治療できるか知りたい
  • ホルモン療法と放射線治療をすすめられている
  • 手術後にPSAが上がってきた
  • 骨転移による痛みがある
  • 放射線治療の回数や副作用を知りたい

手術と放射線治療、どちらを選ぶ?

前立腺がんでは、手術と放射線治療はいずれも根治を目指す標準的な治療です。放射線治療は「手術ができない場合だけの治療」ではありません。手術は前立腺を摘出する治療であり、放射線治療は前立腺を残したまま、放射線でがんの制御を目指す治療です。

どちらを選ぶかは、病理結果、画像検査、がんの広がり、年齢、持病、排尿状態、生活への影響などをもとに考えます。治療後に起こりやすい症状も異なり、尿もれ、排尿症状、排便症状、性機能への影響などは治療法によって出方が変わります。

大切なのは単に「どちらがよいか」ではなく、ご本人の病状や生活背景に合った治療を選ぶことです。当科では、泌尿器科と連携しながら、放射線治療を選ぶ場合の流れや副作用について説明します。

前立腺がんの外照射とは

前立腺がんの放射線治療には、からだの外から放射線をあてる「外照射」と、前立腺の中から照射する「小線源治療」があります。当科で行っている「外照射」は、画像検査を利用して、前立腺の位置を確認し、からだの外から少しずつ放射線をあてる治療です。

前立腺がんの外照射では、前立腺の近くに膀胱、尿道、直腸があるため、がんに必要な線量を届けながら、周囲の臓器への影響をできるだけ抑えることが大切です。そのため強度変調放射線治療、画像誘導放射線治療などの技術を用いています。 一部の患者さんでは直腸の影響を減らすためのスペーサー留置も行っています。

治療回数と通院の流れ

多くの場合、1日1回、平日連日、20回、約4週間の外来通院治療を行います。1回の治療は10分程度です。治療中は定期的に診察を行い、排尿や排便の症状を確認しながら進めます。

初めての診察でおこなうこと

放射線治療科の初めての診察では、これまでのPSAの推移などの検査結果や治療内容、現在の体調などを確認します。手術を実施しない理由についても確認します。そのうえで最適な放射線治療の方法や目的、副作用についてご説明します。治療を受けることになった場合は、治療計画用CTの撮影日、治療開始日など今後の予定を相談します。病状によってはスペーサー留置やMRIの追加検査について相談させていただきます。原則として初回の診察日に治療を開始することはありません。

通院手段、日程、治療方針について不安がある方は、ご家族などと一緒に受診されることをおすすめします。また、日常生活で気になることや、治療中に気をつけることについて、看護師と相談することもできます。

初回の診察後から治療開始までの流れについては、「放射線治療がはじまるまで」をご覧ください。

副作用について

前立腺がんの外照射では、前立腺の近くにある膀胱、尿道、直腸にも一部放射線があたるため、排尿や排便に関する症状が出ることがあります。

治療後しばらくしてから、血便などがみられることがあります。症状の程度には個人差がありますので、気になる症状がある場合は、遠慮なくご相談ください。

よくある質問と回答

Q
放射線治療中に痛みはありますか?
A

照射中に痛みや熱さを感じることはありません。治療台の上で同じ姿勢を保っていただきます。

Q
入院は必要ですか?
A

多くの場合、通院で治療できます。全身状態や通院の状況によっては、個別に相談します。

Q
仕事を続けながら治療できますか?
A

多くの方は日常生活を続けながら通院しています。治療中に体力や体調の変化がおきることはまれです。治療時間は10分程度ですので、ご仕事の合間の治療をされる方もいます。治療を行う時間について、相談させていただいています。

Q
治療は何回くらいですか?
A

治療回数は、がんの状態、治療方針、ホルモン療法の有無などによって異なります。当院では治療効果が確立している20回の治療を行っています。

Q
副作用はありますか?
A

血便をともなう直腸炎や排尿への影響が主な副作用です。これらの副作用は一部の方でみられます。直腸炎は治療後にみられることが多く、排尿への影響は治療中に一時的にあらわれることが、多いです。これらの副作用で日常生活が大きく変わることは少ないですが、症状を確認しながら対応します。

Q
ホルモン療法は必ず必要ですか?
A

必ず必要とは限りませんが、多くの方はホルモン療法を併用しています。がんのリスク分類や病状に応じて、泌尿器科と相談しながら判断します。

Q
性機能への影響はありますか?
A

放射線治療でも、治療後に勃起機能が低下することがあります。手術と比べると、治療直後から大きく低下することは少ないとされていますが、時間がたってから変化が出る場合があります。また、ホルモン療法を併用する場合は、性欲の低下や勃起機能への影響が出ることがあります。気になる点があれば、診察時にご相談ください。

Q
直腸スペーサーとは何ですか?
A

前立腺と直腸の間に一時的なスペースを作り、直腸にあたる放射線量を減らすための処置です。すべての患者さんに必要なわけではなく、がんの状態、前立腺と直腸の位置関係、照射方法、持病などを確認したうえで使用を検討します。使用する場合は、治療計画用CTを撮影する前に準備します。

Q
手術後にPSAが上がった場合も相談できますか?
A

手術後のPSA再上昇に対して、放射線治療を検討することがあります。PSAの推移や病理結果を確認して判断します。

Q
骨転移の痛みにも放射線治療は使えますか?
A

骨転移による痛みを和らげる目的で放射線治療を行うことがあります。痛みやしびれ、歩きにくさがある場合はご相談ください。

Q
治療にかかる費用は?
A

放射線治療の費用は治療技術や回数で異なります。前立腺がんの放射線治療費は100万円前後で、自己負担割合が1割の方は10万円、3割の方は30万円程度になります。保険診療となりますので高額療養費制度により自己負担額が減ることもあります。詳細は当院の医事課もしくは会計窓口でご相談ください。

お問合せ・ご相談について

患者様

放射線治療の適応を判断するためには、現在の病状、これまでの治療内容、検査画像などの詳しい情報が必要です。そのため、当科の受診は原則として、現在診療を受けている医療機関の医師からの紹介による予約制としています。受診をご希望の場合は、まず現在の担当医にご相談ください。

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この記事について

このページは、前立腺がんの放射線治療について、患者さんとご家族に分かりやすくお伝えするために作成しています。実際の治療方針は、病状や検査結果、全身状態などによって異なります。詳しくは、主治医または放射線治療科でご相談ください。

参考にした主な情報
  • 前立腺癌診療ガイドライン2023年版

執筆・監修医師

藤 浩(ふじ ひろし)
千葉西総合病院 放射線治療科
日本医学放射線学会認定 放射線治療専門医

最終更新日:2026年7月28日