乳がん術後の放射線治療
乳がんの手術後に再発のリスクを下げる目的で、放射線治療を行うことがあります。特に乳房温存手術の後は、残した乳房の中からの再発を防ぐため、放射線治療が標準的に行われます。当科では、手術前の病巣の状況、これまで行ってきた治療などについて確認して、放射線治療が必要な状況か判断しています。放射線治療が必要な場合、治療の目的、回数、副作用、生活への影響について説明し、患者さんの病状に合わせて治療スケジュールを決めていきます。
このような不安をもっている方へ
- 放射線治療が本当に必要なの?
- どんなことをするのか、イメージできない
- 仕事や日常のことと両立できるの?
- 皮膚の症状や痛みは?
- 体調をくずしたりしないの?
乳がん手術後に放射線治療を行う理由
乳房温存手術では、目に見えるがんを取り除きます。しかし、手術で取りきれた状態でも、がんのあった乳房から再発する方がいます。乳房温存術後の放射線治療は、手術した乳房に残っているわずかながん細胞を治療し、再発のリスクを下げるためにおこなわれます。
乳房切除をおこなった患者さんでも、放射線治療が必要な場合があります。乳房の外にがんが進展している場合や周辺のリンパ節にがん細胞が残っている可能性が高い場合に放射線治療により、再発リスクを下げることが検討されます。
治療期間と回数
多くの場合、1日1回、平日連日、3〜5週間の外来通院治療を行います。1回の治療は10分程度です。
初めての診察でおこなうこと
放射線治療科の初めての診察では、病気の広がりや場所、これまでに行われた治療、手術所見、手術後の体調などを確認します。そのうえで最適な放射線治療の方法や目的、副作用について説明します。治療を受けることになった場合は、治療計画用CTの撮影日、治療開始日など今後の予定を相談します。原則として初回の診察日に治療を開始することはありません。
通院手段、日程、治療方針について不安がある方は、ご家族などと一緒に受診されることをおすすめします。また、日常生活で気になることや、治療中に気をつけることについて看護師と相談することもできます。
初回の診察後から治療開始までの流れについては、「放射線治療がはじまるまで」をご覧ください。
副作用について
乳がん術後の放射線治療では、照射した範囲の皮膚に赤み、かゆみ、ヒリヒリ感、乾燥、色の変化などが出ることがあります。多くの場合、日常生活や通院を続けながら治療できますが、皮膚の状態を確認しながら外来で対応します。
治療後しばらくしてから、乳房の硬さやむくみ、違和感などが残ることがあります。また、放射線をあてた周囲の肺に炎症が起こり、咳や発熱、息切れなどの症状が出る場合もあります。
症状の程度には個人差がありますので、気になる症状が続く場合は我慢せず、早めにご相談ください。
よくある質問と回答
照射中に痛みや熱さを感じることはありません
照射中に痛みや熱さを感じることはありません。
治療台の上で同じ姿勢を保っていただきます。手術後、腕があげにくい状態が続いているような方は事前に教えてください。治療時の姿勢を工夫することで、楽になることがあります。
大抵の場合は通院にて治療します
多くの場合、通院で治療できます。全身状態や通院の状況によっては、個別に相談します。
多くの方は日常生活を続けながら治療を受けています
皮膚症状や疲れやすさには個人差がありますが、多くの方は日常生活を続けながら通院しています。
治療の後半になると照射した範囲の皮膚に赤みやヒリヒリ感が出ることがあります。こすらず、刺激を避
け、診察時に皮膚の状態を確認します。
薬物療法の内容や手術後の回復状況によって順番は異なります。乳腺外科と連携しながら治療の流れを確
認します。
放射線治療の費用は治療技術や回数で異なります。乳がんの手術後の放射線治療費は50万円前後で、自己負担割合が1割の方は5万円、3割の方は15万円程度になります。保険診療となりますので高額療養費制度により自己負担額が減ることもあります。詳細は当院の医事課もしくは会計窓口でご相談ください。
お問合せ・ご相談について
患者様
放射線治療の適応を判断するためには、現在の病状、これまでの治療内容、検査画像などの詳しい情報が必要です。そのため、当科の受診は原則として、現在診療を受けている医療機関の医師からの紹介による予約制としています。受診をご希望の場合は、まず現在の担当医にご相談ください。
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放射線治療科予約・問合せ専用番号までご連絡ください。
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この記事について
このページは、乳がんの手術後の放射線治療について、患者さんとご家族に分かりやすくお伝えするために作成しています。実際の治療方針は、病状や検査結果、全身状態などによって異なります。詳しくは、主治医または放射線治療科でご相談ください。
参考にした主な情報
- 乳癌診療ガイドライン治療編2022年版
- 放射線治療計画ガイドライン2024年版
執筆・監修医師
藤 浩(ふじ ひろし)
千葉西総合病院 放射線治療科
日本医学放射線学会認定 放射線治療専門医
最終更新日:2026年7月28日




