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大動脈瘤があると言われている方、あるいは
知人、家族の大動脈瘤のことが心配な方へ(21)
心臓血管外科部長 市原 哲也
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「寝たきりになるからやらないほうが良い。」と主治医から言われ、どうしてよいのかわからないと、胸の大動脈瘤を持つ多くの方から連絡を頂きます。「寝たきり」とは手術の際の脳合併症のことなのですが、あまり良い響きではありませんね。「寝たきりまでは行かなくとも、車イスの生活になる、と言われた。」ということもよくおっしゃいます。その度に、私は「脳合併症の起こる率も低いし、また、起こったとしてもその程度には差があり、寝たきりになるのは稀ですよ。」とお伝えし、手術に対する不安を拭って差し上げるよう努めております。これから手術をとお考えになっている方にとって、「寝たきり」「車イス」などという言葉はただ不安を増幅するものです。特に、手術すれば必ずと言っていいほど起こる、とまで言われれば、それはもう手術どころではなくなりますね。しかし、皆さん、そんなことは決してありません。正しいことが知らされていないことから来る不安が非常に大きくなっているだけなのです。そこで今回は、一体どれくらいの率で脳合併症が起こるのかということについて数字をお示しし理解して頂こうと存じます。
2004年1月から2008年6月までおよそ4年半で、私共は胸の大動脈瘤の方、560人に対し手術を行なって参りました。内訳は、
- 急性A型解離:280人
- 急性B型解離破裂:10人
- 胸の大動脈瘤待期手術:180人
- 胸の大動脈瘤破裂:90人
です。脳合併症の発生率は、それぞれ、1) 2.5% 2) 0% 3) 3.4% 4) 2.3%でした。これから手術を受けようと考えておいでの方は上記の「3. 大動脈瘤待期手術」における数字が気になるはずなので、この3について少々お話致しましょう。
脳合併症の程度は、床上起座不可能(一般的に言われる「寝たきり」です)2名(1.1%)、左あるいは右手足不自由4名(2.2%)の2種類に分けられます。後者の「手足不自由」は数ヶ月のリハビリでかなりいい状態まで回復するというのが現状です。また、前者の「起座不可能」の方で1名は、笑ったり、話したり、食事も摂ることができますが、もう1名はこちらの言うことがわかるという程度です。
いかがですか?こういう数字をご覧になれば、寝たきりになるぞ、などというのは単なる「脅し」に過ぎないということがお分かり頂けると存じます。ゼロではないことは確かですが、言われるような「ほとんど」あるいは「絶対」ではないはずです。尚、これらの脳合併症発生率は一般的にはおよそ10%、と言われています。これですべての不安が払拭されるとは考えておりませんが、少なくとも脳合併症発生率に関しては正しい情報が得られたことになり、大きな前進ではございますまいか?
次回は、脳合併症が起こった際の治療や話の進められ方について、私共の日頃行なっていることを中心に述べて参りたく存じます。今回は以上です。
どのようなことでも構いません。是非御連絡下さい。
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連絡先
千葉西総合病院代表
047-384-8111
大動脈センター 市原哲也
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